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「やっぱり左耳の鼓膜が破けてますね。1週間は任務業務は停止ですよ」
魅澪はあれから飛鳥に連れられ、治療室に来ていた。
白衣を着た医者らしき男は診断書にサラサラとペンを滑らせる。
「今回はしくじりました」
「蒼井曹長もそういうことがあるんですね」
ははは、と男は笑いを漏らした。
「ま、私も人間ですから」
「一般人に比べたら超人ですけどね」
「それは久留先生もではないですか。〝戦場の戦う医者〝と言う名をお持ちのくせに」
医者の名は久留衛。この施設の医師である。
ここに来る前は軍医であった。
「くすくす、あれは正当防衛ですから」
久留は魅澪の耳を消毒する。
「うぐ、染みるー・・・」
「出血の割にはそんなに破けてないから大丈夫ですよ」
消毒し終えると細菌が入らないように綿球を詰める。
「蒼井曹長はここのとこ任務続きのようですので休息だと思ってゆっくり休んでください」
「はーい。休みにしては長いですけどね」
魅澪は立ち上がり薬をもらうとお礼を言って治療室を出た。
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