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『清水のこと好きだったよ。わざわざ本返しに来てくれてありがとう』 送ったメール。すぐさまなる着信音。 えっ………。電話?ど、どうしよう。 躊躇いながらも応答に触れる。 「も…もしもし?」 『もしもーし』 静まれ心臓。お願い、今は最後であろう清水の声をしっかり聞きたいの。 そうは思っても予想していなかった清水からの着信に心臓が大きな鼓動を奏でている。 「…………」 『…………』 わたしの緊張を感じてなのか清水もなにも言わない。 1分、5分、15分、30分がわたしの脳内では過ぎた。 『俺、知ってた』 唐突に破られる沈黙。破ったのは清水だ。 唐突で端的過ぎるコメントに反応が遅れる。 「……えっと、うん。だよね」 ははっと乾いた笑いをするも続かない。 『俺…』 「あの…」 声が重なる。 『先いいよ』 「先どうぞ」 少しの沈黙。 『………くっ』 「………ぷっ」 『「あはははっ」』
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