83人が本棚に入れています
本棚に追加
先程よりだいぶ暗い場所を選んで腰を下ろす。
そこから道行く人々を見れば、見知った顔がいくつも通り過ぎた。
良かった、場所を変えておいて。
…と思った矢先。
「あれぇ?広瀬くん!?」
賑やかな団体の中の一人と目が合ってしまった。
「マジで!?来てたの?」
「ひとり?」
「何してんの?」
「さっきここを橋本が彼女連れで通らなかった?」
あっという間に男女の団体に囲まれる。
顔を見たら、全員クラスの奴等だった。
「マジで橋本彼女いんの?腹立つ」
「ただのひがみじゃん!」
僕へ質問をしたはずだけど、答える隙を与えない。
まるで自分自身のテンションと会話をしているようで、僕が答えなくてもどんどん話は進んでいく。
「広瀬、今日用事あるとか言ってなかった?」
一人がやっと落ち着いて聞いてきた。
「うん。用事中だけど」
「もしかして待ち合わせ?」
橋本と同じ事を言われた。
独りで意味もなく縁石に座ることは、そんなにおかしいんだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!