つぎはぎのカタチ

5/6
前へ
/66ページ
次へ
  「妹の送り迎え」 無愛想に言うと、男共は明らかにホッとした。 同年代の男の彼女の有無が気になるのは、男として当たり前の事なんだろうか。 僕にはない感情だからわからないけど。 「なんだ、妹の世話か」 「広瀬くんてば優しい!妹さんっていつ頃来るの?」 「花火が終われば連絡来るんじゃないかな」 「まだ始まってもないじゃん!じゃあさ、連絡来るまで一緒に回ろうよ!」 あぁ、祭が嫌いな理由、その二だ。 ひとりでいると何故か連れ回される。 誘って欲しそうに見えるんだろうか。 ひとりでいたい奴だっているって事を知って欲しい。 完璧な有り難迷惑なんだけど。 「…悪いけど」 苦笑いしながら断ると、しぶしぶといった感じで団体は離れて行った。 …ここに座ってたら、また声を掛けられるかもしれない。 再び重すぎる腰をあげ、神社から幾分も離れてない寂れた公園へと向かう。 小さな滑り台とブランコ。 人気のない公園は今日はありがたいが、出来ることなら二度と足を踏み入れたくなかった場所だ。 右側のブランコに座り、膝の上で頬杖をついた。 正面に見える小高い神社からお囃子と灯りが漏れる。  
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加