83人が本棚に入れています
本棚に追加
「妹の送り迎え」
無愛想に言うと、男共は明らかにホッとした。
同年代の男の彼女の有無が気になるのは、男として当たり前の事なんだろうか。
僕にはない感情だからわからないけど。
「なんだ、妹の世話か」
「広瀬くんてば優しい!妹さんっていつ頃来るの?」
「花火が終われば連絡来るんじゃないかな」
「まだ始まってもないじゃん!じゃあさ、連絡来るまで一緒に回ろうよ!」
あぁ、祭が嫌いな理由、その二だ。
ひとりでいると何故か連れ回される。
誘って欲しそうに見えるんだろうか。
ひとりでいたい奴だっているって事を知って欲しい。
完璧な有り難迷惑なんだけど。
「…悪いけど」
苦笑いしながら断ると、しぶしぶといった感じで団体は離れて行った。
…ここに座ってたら、また声を掛けられるかもしれない。
再び重すぎる腰をあげ、神社から幾分も離れてない寂れた公園へと向かう。
小さな滑り台とブランコ。
人気のない公園は今日はありがたいが、出来ることなら二度と足を踏み入れたくなかった場所だ。
右側のブランコに座り、膝の上で頬杖をついた。
正面に見える小高い神社からお囃子と灯りが漏れる。
最初のコメントを投稿しよう!