均衡◇黒羽

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「起こさないとな。」 クスクス 「そうね。」 体を揺すられ 『ふぁぁぁ…んっ…ふぅ…。』 体を伸ばして飛行機の窓から見える景色。 何時の間にか着いた日本。 5歳からお父さんの仕事の都合で世界中を転々として…8年ぶりに帰って来た。 「しかし良く寝てたなぁ…。」 『何か…眠くなっちゃって…。』 クスッ 「紗綾良(サアラ)に時差ボケは無さそうね。」 優しい両親。 『暫くは日本に居るんだよね。』 「あぁ。任期は一年だが…。」 「お友達沢山出来ると良いわね。」 『うん。』 お友達…遊び相手は居た。 仲良くなっても直ぐに転勤。 パパの仕事はICPO特務監視調査員。 だから一番長く居たのは…フランス。 「そう言えば…朝比奈君と優雅君も日本に戻っているそうだよ。」 『ゲッ…優雅だけで良いのに…。』 「三人は仲良かったものね。」 『…優雅は優しいけど…比奈は…。』 クスクス 「その割りにはずっと一緒に居たわよね。」 クスクス笑うママ。 同じの日本人の双子の男の子。 歳の離れたお兄さんは日本から特務で来て居てパパと仕事をして居たから…家族ぐるみのお付き合い。 『コーヒー牛乳、数々のおやつの恨み会ったら晴らして…。』 「成長して格好良くなってるかも知れないぞ。」 『意地悪だからやだ。』 「朝比奈君だとは誰も言って無いぞ。」 『パパの意地悪。』 クスクス…。 『うん。朝比奈には会わない方が平和。』 入国手続きを済ませ 「全く…郵送すれば良いのにワザワザ特別許可書を発行してまで…」 呆れ顔のパパに 『だって小さい頃からやってるし…郵送だと届くの遅くなっちゃうでしょ。』 クスクス 「この調子だと直ぐにでも討ちに行きそうね。」 楽しそうにわらうママと話ながら荷を持ってターミナルビルを歩く。
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