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「ったく、しつこいんだよ」
小さく毒ずきながら一人の少年が大通りから薄暗い路地裏に走り込む。
目の端で3人の『黒服』が通りを走り抜けるのを確め、走る速度を落としつつ路地の奥に歩を進める。
「撒いたか…な?」
少年は乱れた息を整えながら自分の制服の胸元から顔をだす真っ白い子犬に語りかける。
「撒けていませんよ」
勿論犬が喋ったのではなく答は彼の背後、つまりは路地の入口から帰ってきた。
抑揚に乏しいその声は一切の感情を感じさせず、ただ現実のみを彼に突きつける。この二週間とがそうであったように。
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