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少年がガリガリと黒の癖っ毛を掻きまわしながら振り返れば、通りの明かりを背によく見知った黒のシルエットが近づいてくる。
雲の切れ間から月が顔を出し、月光が照らし出したのは一人の少女。
『黒のセーラー服を身に付けた黒髪の人形』そんな印象を抱くほど少女は美しく、そして、おそろしいほどに無機質だった。
「坂東…」
少年の口からいまいましそうに彼女の名が漏れる。
「さぁ、帰りましょうか…海斗さん」
「悪いけど、イヤだね。」
吐き出された明確な拒否の意思にも彼女は眉一つ動かさない。
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