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「あなたの選択で結果が変わる事はありませんが…『才能』を持つ者は持たざる者に義務があるとは思いませんか?」
薄めの唇がつむぎだす、何の感情もこもっていない言葉が少年に大義を問う。
「はっ…『才能』だって?」
唇を自嘲気味にゆがませた少年の足下に広がる闇が沸き立つ。
「それを使ってやるのは結局の所、人殺しだろ?」
「いいえ、人殺しというのは過ちです。我々が行うのはあくまで『鬼』殺し、『鬼』は既に人ではありませんから。」
即座に返される返答は、事実でどうしようもないぐらい正論だ。
だが、一昨日突き付けられた現実はそんな論理を打ち砕くには十二分に残酷だった。
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