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ガチャ━━━━
改めて扉を開ける。
「すごぉぉい!!」
「はい。僕サウナみたいな物想像してましたけど熱気を上手く外に逃がしてるから適温ですね」
ピチャ━━━━━
「お湯も冷めてない!!」
片手をお湯の中に入れ桃は笑った。
「あ、ダメですよ!きちんと服脱いで、体を洗ってください」
「はーい・・・・もぉ、お兄ちゃんえっち。そんなに私の裸・・・興味あるんだ」
「卑猥100パーセントな言い方は止めてください。それに水着で入るって話になったじゃないですか・・・・!まさか」
油断した。
僕がトイレに行ってる間に桃ちゃんが荷物を詰めてくれたのだが・・・
「あっれー?水着無いなー部屋に忘れたのかなー」
お風呂に持ってきた袋の中を探しながら桃は言った。
わ、わざとらしすぎる。
「当然僕の中にも・・・・無い」
「お兄ちゃんも無いの?それじゃあ仕方ないバスタオルで入るしかないね」
「取ってきます!」
「1時間」
「うっ・・・」
桃の言葉に雄仁は足を止めた。
そうこの1時間と言うのは温泉に入れる時間を指す。
どうやら夏にこの部屋を長時間使うと良くないことが起こるらしい。
「で、でも僕なら往復三分で・・・」
「たぶん私達が温泉に入ってる間に雪崩さんお部屋掃除してくれてるかも。見えない影の努力が日本のサービスだからね。それを見られたら雪崩さんショックで女将辞めちゃうかも」
「そうなんですか!?」
勿論嘘であるが雄仁は微塵も疑わなかった。
「どうする?」
「・・・わ、分かりましたよ。バスタオルで入ります」
「りょーかい!」
勝利のガッツポーズを小さくした桃に対して雄仁は今後に不安を抱いていた。
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