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カラカラ━━━━
「楽しそうだね。どうしたの?」
「・・・それがお湯が熱すぎて耐えられなくて叫んじゃったんですよ」
桃ちゃんがしっかりとバスタオルを着けていることを確認し答えた。
「熱くない温泉があるわけないじゃん。そんなの気の持ちようだよ」
桃は笑いながら肩にお湯を掛けた。
ザァァァ━━━
「っっっっっ、お、おおお兄ちゃん。あっっついよぉー」
半分涙目に桃は雄仁に泣きついた。
ポンポン━━━
「はいはい。大丈夫ですから。熱くて少しビックリしただけですよね」
「し、死ぬかと思った」
「そんなにですか!?とりあえず水で薄めながら慣らしていきましょう」
「蛇口もシャワーもないのに?」
「・・・・・・気合いです。慣れれば楽勝って言うじゃないですか」
「住めば都みたいにいわないでよーその過程が大変なんだから。でも、時間があまり無いからゆっくりしてられないね」
ザァァァ━━━━━
「あつーでも、慣れてきたかも」
「あーお兄ちゃんずるい!私も!!」
ザァァァ━━━━
「んぅー・・・熱い。あ、お兄ちゃん髪洗って」
「分かりました」
桃は雄仁の前に座った。
「熱いですけど我慢してくださいね」
「うん」
ザァァァ━━━━
「ふぅぅ・・・」
シャンプーを手に取り髪の毛を洗い始めた。
シャカシャカ━━━━━
「こうして洗って貰うと彼女って言うより・・・夫婦みたい・・・だよね?」
もじもじしながら桃は呟いた。
「そうですか?どっちかって言うと兄妹じゃないですか?」
「・・・・・・」
グキキキ━━━━
「あいたたたったた!おれ、折れる!」
「夫婦」
「は、はい!ラブラブの新婚さんみたいです!!!」
「だよねぇー」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべた桃は雄仁の手を離し身をくねらせた。
夫婦は夫婦でも鬼嫁と貧弱夫みだいだなー
などとは口が裂けても言えるわけがなく大人しく髪の毛を洗った。
ザァァァ━━━━━━
「わふぅーもう慣れた」
「それじゃあ「次は私がお兄ちゃんを洗ってあげる」
桃はぐるっと体を回転させ顔を右に傾けて言った。
「お兄ちゃんの髪を洗ってあげるに訂正されるまで承諾しません」
「き、気付いたんだ。中々やるようになったね」
「はい、訂正文どうぞ」
「お兄ちゃんの髪を洗ってあげる!」
「お願いします」
油断も隙もない子だよ本当に。
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