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「洗うよ?」
「はい、どうぞ」
ワシャワシャ━━━━
「桃ちゃんの手小さいですね」
「急に何?喧嘩売ってるの?」
不機嫌を声色に混ぜ、髪の毛を洗う手に力を込めた。
「お、落ち着いてください。そういうことではないです」
「へー・・・それじゃあ一度だけ理由を言うチャンスをあげる」
「もし・・・桃ちゃんを納得させられなかったらどうなるんですか?」
「お兄ちゃんの何かが無くなる」
「怖っ!その具体的じゃないところがさらに怖いです!」
「理由をどうぞ」
「・・・小さいと言ったのは可愛いですね。の小さいです。決してバカにしてるわけではありません」
「・・・・・・」
け、結果は・・・
後ろで黙って考える桃に雄仁は緊張しながら待っていた。
ワシャワシャ━━━━
あ、手は止めないんだ。
「まぁいいでしょう。今回は許します」
「ありがとうございます」
あれ?なんで僕お礼言ってるの?
「ほら、流すから目閉じて」
「はい」
ザァァァ━━━
あつぃー・・・僕は慣れないや。
「次は体を洗ってあげるね!」
「全力で遠慮します」
「なんで!前々から言いたかったんだけどお兄ちゃん遠慮しすぎだよ!もっと、もーっと甘えてよ!!」
「仮に僕がもっと、もーっと甘えたら大変なことになってる気がします」
「大変って?」
「そうですね・・・例えば、朝から晩まで・・・」
ペタペタ━━━━
「はい。ぺたぺたしてます。それはもういつでもどこでもイチャイチャしまして・・・」
シュッシュッ━━━━
「しゅっしゅっ・・・ってそ、そういう事もまぁあるかと思います」
ゴシゴシ━━━━
「ごしごしは無いかと・・・え?なっ、どうして洗い始めてるんですか!」
雄仁は視線を後ろに向け言った。
「だって、洗いたかったから・・・」
「そんな恥じらわれながら言われましてもダメです」
「ふふ、いくら口で言っても止めないよ。力付くで止めないと」
ガシッ━━━━
「あぅ」
「捕まえました」
雄仁は後ろの桃の手を掴みながら向き合った。
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