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粉雪の間━━━━━
「・・・・・・」
涼しい・・・
チリンチリン━━━
風・・・鈴?
なんか頭の下が柔らかい・・・
・・・・膝枕してくれてるのか。
「・・・ん?・・・ぁ」
徐々に意識がハッキリしてきたので目を開けてみると、誰かが僕の顔をのぞき込んでいた。
視界がボヤケていて輪郭しか分からなかったが・・・
「桃・・・ちゃん?」
「うん。大丈夫?」
「ほっぺたが少しジンジンしますけど大丈夫です・・・えーと、何があったんでしたっけ?」
「覚えてないの?」
桃ちゃんに言われ考えるが痛かった事くらいしか覚えてない。
「・・・・・うっすらとしか」
「仕方ない。私が全部教えてあげよう。こほん。まず私のナイスバディに欲情したお兄ちゃんが「妄想の中の話ではなくて事実だけを教えてください」
「・・・英理子お姉ちゃんが急襲してきたの」
「そんな、また嘘を・・・・・・そうでした。それで僕蹴っ飛ばされたんでした」
顔から血の気が引いていくのが分かる。
どうして英理子が・・・
ピトッ━━━
桃は英理子に蹴られた雄仁の頬に右手を置いた。
ズキッ━━━━
意外にダメージが酷く一瞬、苦痛で顔を歪めたが桃ちゃんに悟られまいと表情には出さなかった。
「ごめんね。痛かったよね」
「そんなことないですよ。僕ムダに丈夫ですから」
そんな強がりを言い笑みを浮かべた。
次第に視界がハッキリしてくると僕は驚いた。
「も、桃ちゃん・・・目の回り真っ赤」
「あ、うん。えへへ、ちょっと大泣きして」
桃は笑った。
それが表面上の笑顔だと気付くのに時間は掛からなかった。
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