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「笑って誤魔化さないでください。平気な振りをしないでください。一体何があったんですか?教えてください」
静かに、それでいて優しく問い詰めた。
ただ純粋に涙の理由を知りたかったから。
「・・・そう言うお兄ちゃんも誤魔化してる。痛くないなんて嘘言って。こんなに真っ赤に腫れてるのに」
ピトッ━━━━
ズキンッ━━━
「ぃ・・・・」
先ほどよりもほんの少し強く触られただけでこれだ。
「痛い?」
「・・・・・はい。痛いです」
嘘つくの、強がるの癖になってる。
それじゃあいけないって分かってるのに。
「そうだよね、痛いよね。ごめんね」
「謝らないでくださいよ。丈夫なのは嘘ではありませんから。それよりも次は桃ちゃんの話聞きたいです」
「これ・・・はね。えーと・・・英理子お姉ちゃんのこと怒鳴って泣きわめいた時の名残・・・かな?」
「桃ちゃんがですか?」
「うん・・・これ以上は聞いて欲しくないな。どうしても聞きたいって言うなら・・・話すけど」
「でしたら聞きません。ムリして話して貰って悲しい顔されると僕も辛いので」
「ありがと。やっぱりお兄ちゃんは優しいね」
「あはは・・・意気地無しとも取れる気がしますけどね。そういえば英理子はどこに行ったんですか?」
「帰って貰ったよ。雪崩さんに頼んで駅まで送って貰った」
「そうですか・・・・・・」
頷きながら雄仁は考えた。
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