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果たして英理子がここに一人だけで来るか?
恐らく姉さん、鈴、姫、リンがこの旅館にいるはず。
「うん、私もそれは思ったの。だけど何回英理子お姉ちゃんに聞いても『私は一人だ』ってずっと言ってた」
「そうですか・・・ってか久しぶりに心読まれました!」
「にひひ、読んじゃった」
桃はしてやった。と言わんばかりの笑顔を浮かべた。
「あ、あの・・・お願いしても良いですか?」
「ん?うん。珍しいね」
「そうですね。ですからちょっと緊張してます」
「甘え下手って奴だね。うんうん良いよ。聞いてあげる」
「えっと・・・大したお願いじゃあないんですけど・・・そのー・・・も、もう少しだけ・・・」
「もう少しだけ?」
「ひ・・・・・ら・・・・・します」
口ごもった雄仁の声は桃の耳には届かなかった。
「え?何?ごめんね全然聞こえなかった」
桃の答えに雄仁は両手で赤くなった顔を隠し・・・
「・・・もう少し・・・膝・・・枕おねがい・・・します」
「・・・・・・う、うん。お・・っけー」
雄仁の緊張が伝わったのか言葉を途切れさせながらも桃は頷いた。
死ぬほど恥ずかしかった。
人に甘えるのがこんなにも難しく感じるなんて・・・
お・・・大人になった・・・ってことなのかな?
全ては予想の域を出ない考えだった。
しかし、雄仁は桃の膝の上で安らぎの一時を得ることが出来た。
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