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僕がリコと出会ったのは、大学一年目の四月。
その日、僕は前々から目をつけていたサークルを見学しに来ていた。しかし、思っていたのとは幾分違うようだった。
僕は、同じく見学しに来たという隣の男に話しかけた。
「軽音ってこんなものなのかな?」
彼は首を傾げた。
「さあ。ただ、がっかりではあるね」
僕らは、楽器には触れずにいつまでも雑談をしていた軽音サークルの彼らを眺めていた。
何をする兆しもなかったので、僕らは軽音サークルの看板をぶら下げたお喋りサークルを後にした。
ほかに寄りたいサークルもなかったので、彼と話をすることにした。これも何かと縁だと思った。
僕らはキャンパスから出て、近くのファミレスに入った。
彼は自分の名をタクヤだと言った。
タクヤは水を飲んでから言った。
「あそこにいたってことは、お前も楽器に興味はあるんだ」
「まあ。ギターは弾ける」
「そうか。じゃあバンド組もう。俺ドラムでさ」
こうして大学に入って初の友達、バンドメンバーが出来た。
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