コッキシン

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世の中には偶然と必然のどちらが多いのか。そんな質問があるとしたら、それは愚問である。この世界に起こることはどんなことであろうと必ず因果関係が有り、つまりすべては必然なのである。 だから、僕がこの大学に入学したことも、タクヤと出会ったこともリコと出会ったことも、僕があの日7時丁度に起床したことも、日本が太平洋戦争で敗れたことも、全部同じレベルで当然なのだ。 「お前は哲学者かよ」 タクヤは笑いながらタバコをふかす。煙は上に昇ったかと思いきやすぐに消えた。 「そんなこと考えて何か変わるのかい?」 僕は副流煙を手で扇ぎながら答える。 「どうだろう」 「俺から言わせてもらうとね、そういうことを考えることに意味はないね。それが真実だとしよう。それでお前は何を掴む?」 夕方のキャンパスはいやに閑散としていた。門の付近には家路を急ぐ学生がチラホラと見えた。 僕は左手首の腕時計に目をやる。もうすぐか。
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