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何故自分が追われなければならないのか、
最近は逃げながらもそんな事を考えるようになっていた。
感覚が麻痺してきているのだろう、恐怖は感じている、必死に逃げてもいる、
だが、
心のどこかで、思っている。
追われる、逃げる。
もし、自分が逃げなければどうなるのだろう。
実は大した事はないのではないか。
実は自分が目的ではなく、たまたま自分が通る道を通っているだけなのではないか。
そもそも、今追われているのは自分ではなく、どこか別の場所の誰かであり、これは映画か何か、なのではないか。
そんな風に思う。
それらは全て現実逃避でしかない、という事は既に解っている。
これは確実に自分の身に起こっている現実で、逃げなければどうなるか、という事も解っている。
いや、やはり正確には解っているとは言えないか。
過程が解っていないから。
解っているのは、死、までだ。
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