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この年 小寺官兵衛は、岐阜城で信長に謁見していた。
播州御着城城主政職の使者として織田氏に味方すことを願い出る。
信長は官兵衛の厚かましいほど率直で大袈裟な弁舌を喜び中国地方の情勢や戦略を力説する官兵衛に、
「毛利氏討伐は羽柴秀吉に行かせるゆえ、先鋒となり働くように」
と短く甲高い声で返答し名刀『圧切(ヘシキリ)』を与えた。
官兵衛の戦略を信長が気に入り高く評価した表れであった。
官兵衛は、早速「圧切」を背負い長浜の秀吉を訪ねる。
秀吉は、
「よく来てくれた」と笑顔で顔を皺くちゃにしてして喜び出向かえる。
「我軍師、竹中半兵衛にござる」
『小寺官兵衛にございます』
半兵衛も頭を下げる。
半兵衛は女性のように色白で綺麗な顔立ち。
冷徹な眼差しと冷静沈着で何事にも動じずぶれない志。
その姿は草原に吹く風の如く爽やかに見えた。
心の中を見透かされているような半兵衛に衝撃を受けている。
いつもの弁舌が出てこない。
頭の中が真っ白になった。
『これが稲葉山城をたった十数人で落とした無欲無敵の天才軍師竹中半兵衛であるのか!?』
と思い感激している。
わしが、憧れ、尊敬にあたいする唯一の人物。
官兵衛はこの出会いに運命的なものを感じていた。
半兵衛も官兵衛に自分とは、正反対の性格ではあるが、『天才軍師』の原石を見ていた。
静かに微笑み『信長公の人をみる目は正しいようですね!』
と官兵衛を評価した。
後に『二兵衛』と呼ばれ秀吉を天下人にまで押し上げた戦国時代最強の『天才軍師』が二人ここに出会った。
秀吉は農民出身であり幕僚の中に優秀な参謀としての竹中半兵衛の能力が必要不可欠であった。
『七顧の礼』をもって自軍に迎え、竹中半兵衛は『戦国最強』の『天才軍師』として活躍して、織田軍の一翼を担い勝利に導いていた。
半兵衛は驕ることなく常に沈着冷静な眼差しを崩すことはない。
又、秀吉を立て、立身出世に興味無く無欲であった。
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