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その時であった官兵衛はただ1人前に出て、
『いいえ私は反対します!
織田氏に小寺家の命運をかけてみるべきだと思います!』
と大声で弁を奮う。
皆は驚き、
「どうして織田氏なのか?」
と反対する。
官兵衛は、生命力に溢れ黒々とした目を輝かせて、
『織田氏の先代信秀は、戦に強く又銭4千貫を朝廷に献納して尾張の武将の身でありながら都にまで名を知られております。
信長公も皆様ご承知の通り桶狭間で今川氏を破り美濃の斎藤氏を破り、稲葉山城を拠点として将軍義昭様を擁して都に入っております。
それに較べて毛利氏は元就公亡き後、勢いは無く吉川、小早川の両川に支えられて元就公の教えに従い、現領を守ることを第一に考え、天下への野望はありません。
ゆえに、天下布武を掲げて天下を治めるのは、覇気のある信長公!
織田氏に付くことが小寺家に繁栄をもたらすと確信します!』
と強く持論を展開する。
官兵衛得意の弁舌に正面から反論できる者はいなかった。
会議は静寂に包まれる。
やがて政職は一言、
「織田氏のこと全て官兵衛に任せる...。」
と小声で言うと誰とも目を合わせずにそそくさとその場を立ち去った。
皆の反対を押し切る形で、官兵衛の主張が採用され今後の方針は決まった。
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