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官兵衛は黙っていることが出来ない。
『我が主と友の心変わり。
背後で毛利が糸を引いている。
蜘蛛のように自在に糸を張り巡らし調略したに違いない。
織田勢に意図的に謀叛の疑いありと噂を流したに違いない。
今更だが、我が一人で行き腹を割って話をして説得するしか道はない』
そこには『天才軍師』の姿は無かった。
心の中にある信義が、主と友の為に純粋に動くことを決意していた。
『わしが動くしか道は、あるまい』
秀吉に話すと
「気をつけて行くのだぞ!」
と心配そうに送られる。
秀吉は実感していた。官兵衛は、家臣では、ない。
『わしは、小寺の家老なのだ』
と官兵衛も実感していた。
我が主は政職であると官兵衛は秀吉が来る前から積極的に織田氏に貢献している。
文字通り『孤軍奮闘』の活躍であった。
周囲には信頼できる者は少なかった。
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