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積極的に動いていたのは、小寺氏家老である官兵衛のみであった。
秀吉を迎えてからは、実質秀吉軍の軍師として半兵衛を手本として学びながら活躍していった。
そのことが主と友の変心に気が付くことを遅らせ、このような事態を招いていた。
半兵衛と顔を合わせたく無かった。
会えば説得され制止を振り切る自信が無かった。
そのまま官兵衛は陣を後にした。
一度父の元を訪れる。
父は、
「主 政職様、村重殿を説得できるならば、それが一番良い。
巻き返しは可能である。
しかしその可能性は低い。
留守は、我が預かる。
心配は無用だ。
お前は、信義を尽くして二人の説得に専念せよ」
父の言葉は身に染みた。
光は、
「あなた無事で帰ってきて下さい」
と言うと泣き崩れる。
官兵衛は光に辛い思いをさせていることを実感した。
『では参る』
短く言うとすぐさま出発した。
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