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官兵衛は、ひたすら話し続けている。
『祖父が近江から流れ落ち着いたこの地で、
神社の影響力を生かして、先祖伝来の目薬を売ったのが効果が有ると大評判となり莫大な財を築いた。
父はその財で姫路城と小寺の家老職を買った。
と家中の者達は噂している。
それゆえ俺は目薬屋の息子と呼ばれている。
全てが嘘とは言わない。
だが財だけでよそ者を家老にする者がどこにいる。
実力があったからこそ父は家老になれたのだ。
信頼されたからこそ姫路城を任されたのだ。
人の噂など8割は嘘だ』
光は黙って聞いている。
『俺がこの年で家老になれたのも父の功績だけではない。
そなたの義父政職様に忠義を尽くし政務に励んだからだ。
ねたみで目薬屋の息子だからだと噂されようと俺はいっこうに気にしない。
しかし妻となったそなたには真実を話しておきたい』
光は頷く。
『播磨は独立した小勢力が小競り合いを繰り返し今に至っている。
しかし小さな勢力が単独で生き残ることは不可能な時代が来る。
100年以上続く戦乱の世に皆が疲れきっている。
天下を統一して戦のない世の中をつくる。
武士として生まれたからには、誰もが夢みることだ。
東には新興ながら織田氏が都を含む中央部を抑え大勢力となり天下布武を掲げている。
また西には毛利氏の大勢力があり、領土維持を基本方針に同盟国を増やすべく盛んに調略を行っている。
小寺に毛利氏の密書が届いたとき俺は選択した。
織田氏にこそ勢いがあり味方することが良策である。
ゆえに御着城にて強く主張して、織田氏を選んだ。
織田氏に野望があるように俺にも野望がある。
織田氏と共に我々も勢力をましていずれは天下をおさめる。
これが俺の夢なのだ。
どうだ。俺と共に生きてみないか!』
「光には難しい話はよくわかりませんが光はあなたの妻となりました。
生涯あなたについて生きます」
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