凶弾

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 #1  貴方がエドガーアラン・ポーやコナン・ドイルの愛読者であり、推理小説を推理しながら読み進めていく懸命な読者であるのであれば、この物語の謎は直ぐに解明できるであろう。  ただし、この物語はフィクションであり、一般の学生が、銃で学校の先生を射殺したり、人一人の命を犠牲にして過去へタイムリープ出来たり、予想していた犯人がコロコロと変わっていくなど、現実ではありえない事が起こりえる。  真実は一つであるが、どんどん謎に迫っていく毎に真実が分岐して、まったく得体が知れない謎が出来上がっていく。  その謎は最初は苗木の様で簡明であるが、謎が大きくなるにつれ、苗木は大木へと変わり、無数の答えの枝を伸ばし、偽りの答えの葉を付け、真実をその一片に隠してしまう。  誰が真実を言い、誰が嘘を吐いているか、あるいは皆が嘘を吐いているか、それはまったく解らない。これは現実世界でも同じ事だ。  謎に巻き込まれていく高校三年生の折原 孝太郎は、一体どうやって謎を解き明かすのか?それは最後まで彼も見続けた読者にしか解らない。 どうか、折原 孝太郎、彼の人生に災難が降りかからん事を……。
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