凶弾

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#2           同級生の岡野が先生を45口径のリボルバー式の銃で射殺したのは昨日の放課後の事だ。大半の生徒が下校した夕方七時過ぎ、岡野が担任の川内を三年二組の教室に呼び出し、殺害したようである。その時、三年の教室がある三階は無人であり、その現場を近くで目撃した者は居なかった。  銃声で駆け付けた数学教師の須田が教室に到着した時には、川内は首から上が吹き飛んだ状態で、教壇の上で横になっていた。  その傍ら、教卓に座り、川内の死体を愉悦に笑い見下ろしていた岡野の姿があった。岡野の手には45口径の銃が握られていた。  須田の存在に気付いた岡野は、躊躇いもなく自分の口に銃口を押し込み、引き金を引き自殺した。  この事件は翌日の新聞やニュースにも取り上げられ、僕達の街を震撼とさせた。  僕がこの事件を知ったのは今日の朝、朝の情報番組での事だ。母親が血相を代え、眠っていた僕を叩き起こし、テレビのあるリビングまで引っ張った。そこで、テレビを見たのである。  初めは状況が理解出来ず、テレビの前で固まっていると、家の電話が鳴り、僕はびっくりして振り返った。
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