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「ここ座ってもいいですか?」
不意に声をかけられ振り向くと、そこにはコノハがいた。もちろん恐怖の猫ココと一緒に。どうぞと微笑むと、コノハはパッと顔を輝かせて隣に腰掛ける。
「賑やかですねっ」
コノハが骨付き肉をココに与えながらそう言う。ココは大きな口でそれを丸呑みすると、バリボリと美味しそうに噛み砕いた。
「賑やかすぎるけどね」
僕はコノハの真似をして、ココに自分のお盆にある骨付き肉を差し出す。ココは嬉しそうに鳴き声をあげると、指までも喰らう勢いで飛びついた。僕は慌てて手を引っ込める。
その瞬間、少し離れた席でバンッと何かを叩いたような大きな音がした。反射的にその音の方向へ顔を向けると、レンとジョシュアも言い合いを止め、音の方へ振り向いていた。
視線の先には机に両手を置いた状態で立っている緑色の髪をした男。どうやら先程の大きな音は男が机を叩いた音のようだ。食堂は静まり返り、ほとんどの人がその男に注目していた。
「貴様ら、ピーピーうるさいぞ」
男がこちらに顔を向ける。まるでどこかの意地の悪い貴族みたいな顔立ち。どこかで見た事があるような。
「あー、あいつ悪ガキ集団のガキ大将だ。確かアルフ」
レンのその言葉で僕は思い出す。僕とレンは小さい頃から二人で行動していたが、たまにちょっかいを出してくる同年代の集団がいたのだ。よく見ると、アルフの周りの席には何人か見たことがある顔ぶれが並んでいた。
「あいつは面倒だから無視無視」
同感だね、と僕は頷く。昔、同じ様に絡まれた時、嫌になるほどしつこかったのを覚えている。
僕、レン、ジョシュアの三人は何事も無かったかのように食事を再開するが、コノハだけはおどおどと周りを見渡す。
「貴様らだ! 貴様ら!」
アルフが声を張り上げると、こちらに向けて指を差した。レンが思わず溜息を漏らす。
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