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そしてレンは背を向けたままアルフに右手をヒラヒラと振る。あっち行けってことだろう。
「貴様、こっちを向けえ!」
その仕草を見て頭に血が昇ったのか、アルフはレンに近寄ると、その肩を掴み、無理やり振り向かせる。
「よう、ガキ大将」
アルフは振り向いたレンの顔を見ると、少し驚いた顔をし、次に向かいの席にいる僕を見た。
「貴様らっ…極悪コンビ! 」
思い出したようにそう言うと、ジョシュアがブッと口に含んでいた水を噴き出す。
「ガキ大将に極悪コンビって…!」
そして腹を抱えて突っ伏した。
僕とレンは幼い頃から一緒に行動し、色々と悪さというか悪戯もしていた事から、一部の人間には極悪コンビと呼ばれていたのだ。正直その呼ばれ方は好きでは無い。というか、極悪と言われて嬉しがる人なんてほとんどいないだろう。
「貴様らみたいなクズがまさか騎士団に入っているとはな。どんなコネを使ったんだ?」
アルフは昔からこういう奴だ。何事に関しても自分が一番上だと思っていて、自分以外の人間は全て下に見る。そしてネチネチとしつこい。
「そっくりそのままお返しするぜ。それより遺跡探索で腰抜かさないように気をつけろよ、ガキ大将。あ、オムツも準備しといた方がいいぜ」
僕はレンがなんの事を言っているのか分かり、ニヤニヤと笑う。口の悪さでいったらレンも負けてないのだ。アルフもなんの事を言われたのか理解したようで、頭にドンドン血が昇っていくのが目に見える。
「貴様ああ!」
アルフの怒りが限界に達し、レンに飛びかかろうとした時、二人の間に一本の腕が割り込んだ。
「こらぺーぺー共。騎士同士の私闘はご法度だ」
ジョシュアがレンとアルフを睨む。さすが二級騎士といったところだろうか。
「なんだ貴様! この女風情ーー」
アルフの言葉が途中で止まる。気が付けば、ジョシュアの右手がアルフの喉元を掴んでいた。コノハがアワアワと二人を交互に見る。
「このジョシュア様に向かって女風情とは良い度胸してんじゃねえか、ペーペー風情が。今ここで断罪してもいいんだぜ」
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