プロローグ

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「どーせクラスも変わらんし、何も変わらない一年が始まっちゃうのかぁ」 別に高校生活に特別な出来事が起こって欲しい訳ではないが。 「そんな事言って、今年は勉強頑張るっ!とか思ってみたら?」 「頭いい訳でも悪い訳でもないから、勉強はいいや」 「そうやって去年赤点とったのどこの誰さんかなぁ」 妹とは途中まで通学路が同じだ。 そしてこの妹が言ったとおり、俺は去年赤点をとってしまった。 「別に物理なんて出来なくても死にゃぁしねぇよっ」 「ぽじてぃぶ・・・なのかな?」 そう、ポジティブシンキングが大事なんだよ。 「あ、じゃ私行くね」 「おう、いってらっさい」 ばいばーい、と手を振って友達のところへかける妹。 妹の名前は楠 優乃(くすのき ゆの)。 現在中学2年生。 兄想いで大体の家事はなんなくこなしてくれる万能妹である。 ちなみに父は遠洋漁業で滅多に帰ってこず、母は保険会社で地方に転勤してしまった。 だから今は俺と優乃の二人暮らし。 まぁ、優乃がいれば何も問題ないがな! 「やっべ、少し急ぐか」 俺は早歩きで学校へ向かった。
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