シーン1

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 埃っぽいビルの中、火薬の臭いが鼻をつく。元々はオフィスであっただろう部屋の壁はぶち抜かれて無くなり、足元にはぐちゃぐちゃの肉片。 嘘だと思いたかったが、傷付いた体と口いっぱいに広がる泥のジャリジャリとした感触がそれを許さない。今日は新しい会社の始業日だったのに。ついさっきまで家族とこれからの話をしていたのに。社員も優秀な友人や親戚で少ないながらも頑張ろうと思っていたのに。ローンだって返していないんだ。 なんで自分は今完全に地獄と化したこのオフィスの残骸に1人で立っているんだ?それすらわからない。 呆然とする中、目の前で影が揺れる。許される思考は一瞬。  なぜ自分がこんな目に遭わなければならない。  弾丸が眉間を貫いた。
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