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「これで今日の作業工程は終了だな」
忠邦と、工場に後れて来た蓮は、彩雲と工具が散らかる工場の片隅で息をついて座り込んだ。
外を見るとすでに真っ暗だ。
彩雲の修復作業が終わるときは、たいてい外が暗い。
工場でのバイトが終わってから、作業を始めているからだ。
「これで車輪を引き込めるようになったか」
「手順を間違えていなければな」
忠邦が運を天に任せるかのように言った。
「そろそろ帰ろう。明日も忙しいからな」
蓮が立ち上がって言った。
忠邦は、蓮の発言に頷いて立ち上がった。
2人は大崎や熟練工の方々に挨拶してから外に出た。
空を見上げると、星々が燦然と輝き、夜空を美しく飾っている。
星空を見る2人を夜風が撫でる。
夏が近いとはいえ、海から吹く風は冷たい。
「あの星々に少しでも近づけるかな?」
忠邦が言った。
「近づけるに決まってる。飛行機を修復しようって言い出したのはお前だろ。だから弱音なんて吐くんじゃない」
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