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沈黙。
それは決して重苦しいものではない。
「どうした? 何か言ってみろよ」
「いや、蓮からそう言われてちょっと驚いてしまった」
「まったく心外だな。俺だって言うときは言わせてもらうぞ」
「ふん」と鼻を鳴らして海を見た。
暗くてよく見えないが、何の変哲もない普通の海だ。
ただ月の引力に従って潮が引き、そして押し寄せる。
星の運行も変わらない。
一定のリズムを刻んで、決められた動きを繰り返す。
これは戦争が始まっても変わらないもの。
「ありがとな」
「えっ」
唐突にお礼を言われて、蓮は驚いた。
「突然どうした?」
「励ましてくれたお礼だよ。もう弱音なんて吐かない」
忠邦の目は力強く輝いている。
「そうか」
蓮はそれだけ言った。
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