甘いお菓子、ソレはキミ

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「他の女の嫉妬はキモチワルイだけだけど、アランのは甘すぎ……甘すぎてもっともっと欲しくなる」  それほどお前が大事、と暗に言われボクは頬を真っ赤に染めた。嬉しすぎるよ、その言葉……。ボクみたいなのには勿体ないくらい……。  そしてふと思い出す。そうだ。キャロは嫉妬深い女が嫌いだと。今までの女の大半がソレが理由で別れていた。(キャロは追うより追われるのが好きだけど、しつこい奴は嫌いだといけしゃあしゃあと言っていた)それなのにボクの嫉妬は「甘い」という。 「キャロ……」 「だからどんどん、オレにあまぁいアランの嫉妬をちょーだい。その幸福感にオレを酔わせて、束縛して?」  ニコリと微笑むキャロが綺麗だと思った。(それと同時にキャロは根っからのMなのか、と虫酸の走ることを考えてしまった。これがキャロにバレたらきっとタダじゃ済まない)緋色の髪も、碧眼も、男のわりに白い肌も、全部が綺麗だ。改めて思うことじゃないかもだけど。  ボクはただただ、キャロの言葉が脳内に甘く痺れるように響くのを感じとるので精一杯だった。 「キャロ……」 「アラン……」  抱き締められた腕の中、ボクはキャロの顔を惚けた顔で見つめる。すると頬にキャロの大きな手が添えられて、やんわりと撫でられる。くすぐったいのと、心地よさでボクが身を捩り、僅かに瞳を閉じた瞬間、唇に柔らかな何かが押し付けられる。ふわふわしてて、マシュマロみたい。ボクはゆっくりと眼を開けて、そして絶句した。 「ッ!?」  何故ならすぐ目の前にキャロの綺麗な顔があったから。驚きのあまり止まる思考。ボクは岩の様に動かなくなった身体のせいで抵抗もできなかった。(できても抵抗したかわからないけどね)ふわふわ柔らかいキャロの唇からは、甘い味がした。(さっきまで飴食べてたなコイツ)ファーストキスは檸檬味、というけどボクのファーストキスは正体不明のキャンディー味だ。
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