甘いお菓子、ソレはキミ

4/14

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「ほら、やっぱりヤキモチ」 「…う」    振り返るキャロの口元は悪戯に吊り上がっていた。  引っ掛かった……。   「かぁわいぃのぉ~。アラン、そこまでオレが好き」    ケラケラとキャロは笑う。  なんだか馬鹿にされてる気分だ。  なんで、そんな風に笑うの?  ボクはキャロにとって、何?  見ていて安心する筈のキャロの笑顔を見ても、今なボクは余計に不安になるだけ。  笑い続けるキャロに、ボクの中の何かがキレて大声で叫んだ。   「そ、そうだよ……ッボクは、キャロに関わるヤツ全員に嫉妬するような、狭い心の持ち主だよ…ッ」    それほどキャロが好きッ!!と涙声になりながらボクは叫ぶ。  流石のキャロも驚いたのか、眼を見開き笑うのを止めてボクを見た。   「アラ……」 「ボクはキャロじゃなきゃダメなんだよッ!でも、キャロは全然ボクを見てないか、らぁ……ひっく……寂しくて、皆に嫉妬して……ぅっ……」   我慢していたものが溢れ出した。  言ったらきっと馬鹿にされるか、呆れられるか、キャロに負担をかけると思っていたから、絶対に言わなかった言葉を、全部吐き出した。  きっと…キャロは呆れてボクを嫌いになったよね……。   「アラン……」    耳を霞める甘いテノールボイス。  嗚咽を漏らし泣くボクの肩に力が加わった、と思った瞬間身体が宙に僅かに浮く感覚と、力強く抱き締める感覚に襲われる。  何が起こったか一瞬わからなかったが、次の瞬間にはボクが今キャロに抱き上げられ、抱き締められてることを理解した。   「……きゃ、キャロッ!?」 「馬鹿な子だね、本当」    呆れた様にキャロは呟く。  馬鹿?  キャロの肩口に押し付けられた頭を上げると、キャロが妖しく笑っていた。  ゾクリ、と背筋が凍る。  今まで見たことがない大人の色香を感じた。   「オレだって、アランしかイヤだよ?」 「え?」 「もうアランしか見えてない……」    片手で軽々とボクを抱き上げながら、キャロはボクの髪を優しく梳いた。  まるでボクの髪の感触を楽しむかのように、何度も何度も。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加