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「ほら、やっぱりヤキモチ」
「…う」
振り返るキャロの口元は悪戯に吊り上がっていた。
引っ掛かった……。
「かぁわいぃのぉ~。アラン、そこまでオレが好き」
ケラケラとキャロは笑う。
なんだか馬鹿にされてる気分だ。
なんで、そんな風に笑うの?
ボクはキャロにとって、何?
見ていて安心する筈のキャロの笑顔を見ても、今なボクは余計に不安になるだけ。
笑い続けるキャロに、ボクの中の何かがキレて大声で叫んだ。
「そ、そうだよ……ッボクは、キャロに関わるヤツ全員に嫉妬するような、狭い心の持ち主だよ…ッ」
それほどキャロが好きッ!!と涙声になりながらボクは叫ぶ。
流石のキャロも驚いたのか、眼を見開き笑うのを止めてボクを見た。
「アラ……」
「ボクはキャロじゃなきゃダメなんだよッ!でも、キャロは全然ボクを見てないか、らぁ……ひっく……寂しくて、皆に嫉妬して……ぅっ……」
我慢していたものが溢れ出した。
言ったらきっと馬鹿にされるか、呆れられるか、キャロに負担をかけると思っていたから、絶対に言わなかった言葉を、全部吐き出した。
きっと…キャロは呆れてボクを嫌いになったよね……。
「アラン……」
耳を霞める甘いテノールボイス。
嗚咽を漏らし泣くボクの肩に力が加わった、と思った瞬間身体が宙に僅かに浮く感覚と、力強く抱き締める感覚に襲われる。
何が起こったか一瞬わからなかったが、次の瞬間にはボクが今キャロに抱き上げられ、抱き締められてることを理解した。
「……きゃ、キャロッ!?」
「馬鹿な子だね、本当」
呆れた様にキャロは呟く。
馬鹿?
キャロの肩口に押し付けられた頭を上げると、キャロが妖しく笑っていた。
ゾクリ、と背筋が凍る。
今まで見たことがない大人の色香を感じた。
「オレだって、アランしかイヤだよ?」
「え?」
「もうアランしか見えてない……」
片手で軽々とボクを抱き上げながら、キャロはボクの髪を優しく梳いた。
まるでボクの髪の感触を楽しむかのように、何度も何度も。
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