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「キャロ…」
「ま、馬鹿な子程可愛いとは言いますが?」
ニヤリとキャロは笑った。
また、今までみたこともない表情。
その表情にドキドキと心臓が高鳴る。
きっとこの心音は、キャロにも聞こえてる……。
なんだか耐えられなくなり、ボクが恥ずかしげに顔を背けると、キャロは無言でボクの顎を掴み、無理矢理自分の方を向かせる。
キャロの碧眼と眼が合う。
ゾワリ、と身体中の血が騒いだ。
「オレがどれだけアランを愛してるか、思い知らせてあげよーか?」
いつも綺麗だと思っていたキャロの瞳の奥に、禍々しい黒い何かを感じる。
こんなの、キャロじゃない……。
そう思う反面、これが本当のキャロなんだ、とそれを知れた喜びが頭を上げる。
ボク、こんなにマゾっ気あったっけ?そう思う程、今のキャロの虜だ。
キャロの顔がゆっくりとボクに近付いてくる。
「……ぁ」
睫毛、長い……。
不意に近付いて来るキャロの顔をみて、場違いなことを考えてしまう。
これってキス?
自分が置かれている状況を理解するのに、かなりの時間(実際は一瞬)を要したのは、驚きと動揺から。
ボクはキャロの肩を力なく、拒む様に押すがそれはハッキリとした拒絶にはならない。
それにキャロとキスしたくないわけじゃない…。
それを分かっているのか、キャロはキスをしようとするのをやめない。
ボクはキャロから眼が放せなくて、ジッとキャロを食い入る様に見ていると、キャロが瞼を開いて睨む様にボクを見た。
「眼」
「え?」
「キスんときは眼閉じて。ジロジロ見られてるとやりにくい」
考えてみればそう。
ボクは急に気恥ずかしくなって、顔が熱くなるのを感じた。
火照る顔のまま慌てて瞳を閉じた。
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