甘いお菓子、ソレはキミ

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   ボクが怨めしそうにキャロを見ていると、キャロはボクの背後を顎でしゃくって見せた。 「後ろ、お友達が近付いて来てる」 「え……。あ」  後ろを振り返って見ると、そこには確かに同じ学校に通う友達の姿が。まだ結構な距離あるけど、こちらに向かって真っ直ぐ歩いて来ている。 「エリザ……ッ」 「あ、アラ~~ン」  あぁ、なんてタイミングで来るんだろう……。  パタパタと走りよって来るエリザに、この時ばかりは怨みたくなった。  ボクが余程滑稽な顔をしついたのか、キャロはおかしそうに口元を歪めて、吹き出すのを堪えてあた。  あぁ、ムカつく。思いっきり足を踏んでやろうか、この男は。  鋭い眼で睨んでやっても、ヘラヘラ笑うだけ。 「こんにちは、エリザちゃん」  女の子が一瞬で落ちそうな、爽やか笑顔をエリザに向ける。  案の定、エリザは頬を真っ赤に染めて、戸惑った様にそれでもぶりっ子ぶるのは忘れずに、「こんにちわッ!」とキャロに返した。  それが気に入らなくて、ボクが眉間に深い皺を寄せているとキャロはニヤリと笑う。  あぁ、モヤモヤする。イライラする……ッ  そんなボクに気付いているくせに、キャロは馴々しくエリザと話す。  いい加減、怒りも沸点が近いと警報アラームを鳴す。沸点を超えると、温度計はパリンッと爆発するでしょ?  それと同じ、ボクの怒りも弾けてしまいそう。 「キャロ」  無愛想に名前を呼ぶ。  キャロはそれにムカつくほど良い笑顔で振り返りボクの名前を呼ぶ。  カッコいい、とか思ってしまった自分の首を締めてしまいたいけど、キャロは本当にカッコいいのだから仕方が無い、と自分を押さえる。キャロの為には死にたくないし。嘘、キャロの為なら死ねるよ。 「エリザはボクに用事があるの」 「あぁ、そうだった。ごめんな?」  本気で謝ってないことぐらい分かってる。だから余計にムカつく。  いつの間にやらエリザの肩まで抱いていて、その手を素早く放す。  今はキャロに対する怒りじゃなく、エリザに対する怒りを露わにしない様に抑えるので精一杯。
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