甘いお菓子、ソレはキミ

9/14
前へ
/14ページ
次へ
 ほんっと罪作りなオトコだよね、キャロは。(オバサマの話だと、キャロのそーいうとこは父親譲りらしい。逢ったコトも無いのに似るなんてどれだけしぶとい染色体……遺伝子レベルの現象だよ、まったく)  エリザも例外ではなく、キャロの笑顔にストライクッ!!(そのまま退場してしまえば良いのに)しちゃって顔を真っ赤にして何度も頷いた。うわぁ、もう林檎通り越して赤血球みたいね。  エリザは足早にボクたちの前から去っていく。それを見てキャロは「ちょろい」などと小声で囁く。今回ばかりは同情してあげるよエリザ。 「相変わらず、すごいテクをお持ちでいらっしゃる」 「惚れなおした?」 「うん。萎えた」  悪戯に笑うキャロにスッパリと言ってやると、酷いッ!とオーバーに嘆く。傍から見ると馬鹿だ。 「で、ボクにまだ話があるんでしょう?」  早く言って、時間が勿体ないから。と辛辣に言ってやる。 「つれないな。さっきまであんなに可愛らしかったのに」  ニヤリとまた笑う。その笑みがかなり気に触るんですけど? 「早く用件言って」 「ははは。まぁそうカリカリしなさんな」  誰のせいよ。誰の。  ボクがブスッとしているとキャロはボクの頭を軽くたたく。なんだか子供扱いされている気がして無性に腹が立った。  鳩尾に一発いれてやりたい衝動にかられる。  そんなボクの内面を読んでるのか読んでないのか、キャロは後ろからボクを抱き締めて耳元に唇を寄せた。  熱い息が耳にかかって、身体が熱くなるのを感じる。クスリと耳元で笑うと、キャロはボクの耳元でアダルティックな声で囁いた。 「帰って来たら、あまぁいお菓子、もらうから」 「……え」  甘いお菓子?  何々、15にもなって12のボクからお菓子を強奪する気ですか?  私が眼をパチクリさせていると、キャロはニコリと笑いボクの髪を一束摘み、チュッという音をたてて口付けた。  ―――――ッ!!  感覚なんて無いはずなのに、身体中を甘い刺激が突き抜ける。  妖しく細められた眼には、さっき見た黒い何かが見えた。  今気付いた。  コレは…男の眼。所謂、獣の瞳というものだ。(パパが前、オバサマを題材にお話してくれた。その後パパはオバサマにすごく泣きながら怒られていて、ママにもお説教されていた)餓えた獣が、餌を求める眼。キャロが獣だとさたら、餌は―――私。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加