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ほんっと罪作りなオトコだよね、キャロは。(オバサマの話だと、キャロのそーいうとこは父親譲りらしい。逢ったコトも無いのに似るなんてどれだけしぶとい染色体……遺伝子レベルの現象だよ、まったく)
エリザも例外ではなく、キャロの笑顔にストライクッ!!(そのまま退場してしまえば良いのに)しちゃって顔を真っ赤にして何度も頷いた。うわぁ、もう林檎通り越して赤血球みたいね。
エリザは足早にボクたちの前から去っていく。それを見てキャロは「ちょろい」などと小声で囁く。今回ばかりは同情してあげるよエリザ。
「相変わらず、すごいテクをお持ちでいらっしゃる」
「惚れなおした?」
「うん。萎えた」
悪戯に笑うキャロにスッパリと言ってやると、酷いッ!とオーバーに嘆く。傍から見ると馬鹿だ。
「で、ボクにまだ話があるんでしょう?」
早く言って、時間が勿体ないから。と辛辣に言ってやる。
「つれないな。さっきまであんなに可愛らしかったのに」
ニヤリとまた笑う。その笑みがかなり気に触るんですけど?
「早く用件言って」
「ははは。まぁそうカリカリしなさんな」
誰のせいよ。誰の。
ボクがブスッとしているとキャロはボクの頭を軽くたたく。なんだか子供扱いされている気がして無性に腹が立った。
鳩尾に一発いれてやりたい衝動にかられる。
そんなボクの内面を読んでるのか読んでないのか、キャロは後ろからボクを抱き締めて耳元に唇を寄せた。
熱い息が耳にかかって、身体が熱くなるのを感じる。クスリと耳元で笑うと、キャロはボクの耳元でアダルティックな声で囁いた。
「帰って来たら、あまぁいお菓子、もらうから」
「……え」
甘いお菓子?
何々、15にもなって12のボクからお菓子を強奪する気ですか?
私が眼をパチクリさせていると、キャロはニコリと笑いボクの髪を一束摘み、チュッという音をたてて口付けた。
―――――ッ!!
感覚なんて無いはずなのに、身体中を甘い刺激が突き抜ける。
妖しく細められた眼には、さっき見た黒い何かが見えた。
今気付いた。
コレは…男の眼。所謂、獣の瞳というものだ。(パパが前、オバサマを題材にお話してくれた。その後パパはオバサマにすごく泣きながら怒られていて、ママにもお説教されていた)餓えた獣が、餌を求める眼。キャロが獣だとさたら、餌は―――私。
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