伝説としてのモモタロウ

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何がどうしてこうなったのか。それを説明するには、前述の『日本のスター』の話をせねばなるまい。 あの惨劇の中、日本人を勇気づけた芸人、 『桃井きびだんご』。 彼は子供たちの笑顔のために奔走した。 マゲを結い、袴をはき、カミシモを身に付け、刀を差し、桃の旗を背負い、猿と雉と犬を連れて全国を回った。 自らを『桃太郎』と称して。 この彼の行動によって、 千年の年月を経て徐々に相手にされなくなっていた伝説『桃太郎』は、 国民すべてに知られるところとなった。 その当時の一番の有名人といっても過言ではない。 その流れで『桃太郎』は、国民統合、日本復活のシンボルとして再び脚光を浴びる結果に至った。 その間、様々な伝説が作られ、憶測もとんだ。 「桃太郎は実は釈迦の兄弟で……」 「桃太郎の家来は百万を越えていて………」 「桃太郎の標準装備は四十六センチ砲三門搭載………」 など。
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