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刹那、暗闇の向こう、影だけの存在のようになりつつあったきびだんごが、
くるりとこちらに向き直した。
夜中の猫のように、その目だけが光り、こちらを見据える。
『山中くん。』
きびだんごは目を閉じたらしい。
再び闇が光を失う。
「…………?」
奇妙にさざ波を立てる心。
『その、君が忌み憎んだ桃太郎…………
或いは、
それを作り上げてしまったのは――――私かもしれない。』
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