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「あんたは今俺が何を言ってるのか解って―――」
『―――超人的な!』
「!?」
初めてきびだんごが声を荒げた。
『能力を持って敵をバッタバッタとなぎ倒すその姿を、
自分に対価してなりきることだ。
自分もああいう風に強くなりたい、あんなヒーローがここにいれば安心だ、
そんな風に自分の中に偶像を造り上げて自分に当てはめて想像するのが、
楽しくて仕方がないのが子供だ!』
「―――だから、何だ!?」
再び銃口を頭に向ける。
しかしやはりきびだんごはそれに動じることはない。
『―――だから!私は、失われた子供の笑顔のために桃太郎を超人化した!
仮面戦隊やウルトラヒーローも目じゃない位に強大に!
失われた子供たちのヒーローを、『桃太郎』という形で取り戻すために!
私は語った!あることないこと、私の想像のつく限り強力な桃太郎の姿を!
ノーベル賞、バルチック艦隊壊滅、釈迦の兄弟、8000人の大部隊、
あれは全部私の語った物だ!』
「……………!!」
『すると、案の定子供たちの顔に光が戻っていった。
超人的な桃太郎の話を聞くたび、それについて友達と語り合う子供の姿が輝いて見えた!
ごっこ遊びが帰ってきた!空白の心に想像力が帰ってきた!
何より笑顔が帰ってきた!
そして、それを見る私の心にも幸福が――――』
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