2729人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
なんでも、マシロは誰かを探して旅をしていたらしい。
だが、彼ならきっとどこかで幸せにやっているはずだからと、今は足を止めて自分の手伝いをしてくれている。
彼女が探していた彼というのは、いったいどのような人なのだろうか。
「あ、そうだネージュさん。ネージュさんに伝えることがあるんだった」
数歩歩いてくるりと振り向きマシロはいった。
「さっきお手紙をもらったんだけど、ムラなんとかさんがまた援助してくれるって。今度お礼しなきゃね」
「そう、ありがたいわ。しかし、ムラなんとかってどんな人なのかしら。よく援助してもらってるけど特に知り合いってわけでもないし……」
「なんとなくだけど根暗そうだよね」
「あはは、あとすっごい不幸そう」
二人して笑う。
散々にいってしまっているが、彼の援助があるからこそこの家が成り立っているのは事実。感謝のしようがない。
「シロ子、伝えてくれてありがとうね。あたしはお昼ご飯作りにいってくるわ」
「無理しないでよー。ネージュさん、立ちっぱなしは辛いはずなんだから」
「平気平気。これくらいなんともないわ」
確かに片足だけにずっと体重はかけ続けるのは疲れるが、コツを掴んで慣れてしまえば耐えられないほどではない。
それに、ここにいる子供たちもよく手伝ってくれる。その笑顔を見るだけでも疲れなんて吹き飛んでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!