03.

4/19
前へ
/122ページ
次へ
『ほう…ドラゴンライダーの証を入れたのか…。何日目じゃ?』 「まだ数時間しか経ってない」 ニールに変わって、テオラドがそう答えると、アグムトは目を細めて首をニールに近づけた。 獣の臭いではない、不思議な臭いのする鼻息がニールの顔にかかった。 アグムトが鼻で息をするたびに、ニールの髪の毛が乱れる。 『あぁ…たしかに。臭いが変わっているな…。だが、まだ完全ではない』 「そのうち変わるだろう。まずは、帰ろう」 「わぁ!」 テオラドはニールを抱えると、慣れた様子でアグムトに飛び乗った。 「空の上は寒い。私のローブの中に入りなさい」 テオラドがまるで親鳥が卵を暖めるかのように、ニールを自分のローブで包み込んだ。 「すごい!全然寒くないや!」 「ドラゴンの羽毛で出来たローブだ。君ものちのち持つことになるだろう」 アグムトの背中は、想像していたより痛くはなかった。 そっと背中に耳を当てれば、ドクンドクンとアグムトの心音が聞こえる。 ローブの暖かさとアグムトの心音に安心したニールは、うとうとと夢の世界へ引きずられる。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

698人が本棚に入れています
本棚に追加