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「それがさ、魔王が動き出したって話さ」 「魔王が!?」 オヤジの大声に、店が静まり返る。 「わ…わりぃ」 オヤジが小さい声で謝ると、何事もなかったかのようにまた賑わい始めた。 「それで?なんでまた魔王が?」 「んなこと知るか。情報源の奴も確かじゃないんだと」 「また戦争か?」 「さあな。もし戦争だとしても、平和主義のカイル皇子は魔族に対抗するだけの力をもっちゃいねーだろうな」 宿屋のオヤジは、ため息をついて酒を飲み干した。 旅人は話を続ける。 「それに、なんでか知らんが魔王は、国中から魔法使いをさらってるんだと」 その言葉に、オヤジが呆れたように鼻で笑った。 「自分の手伝いをさせるってか?誰が言うことを聞くもんか」 旅人は肩をすくめる。 「さあな。お陰で国は厳戒体制で王立魔法学園を守ってるらしい」 カランカラン… 旅人の話が一段落したとき、酒場に一人の男が入ってきた。
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