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「君に今から少しだけ、ドラゴンライダーとこれからのことについて説明をしよう」
「僕…もう眠いよ…」
目を擦りながら返事をするニールの頭を、テオラドは優しく撫でた。
「大丈夫だ。私がこれから話すことは、魔法の力をまとわせている。寝ていても君の頭に残るはずだ」
テオラドが話終わるとき、既にニールは眠りに着いていた。
「行こう、アグムト」
アグムトは、ゆっくりと翼を広げた。
まるで、背中に乗っている小さな存在を起こさないように気を使ってるかのごとく。
フワリと体が浮くとアグムトは、一度強く羽ばたいた。
『まったく…我の背中で寝たのはその子が初めてじゃ』
「随分気を使ってるご様子で」
テオラドがにやりと笑うとアグムトは、ふんっと鼻息をあげた。
『せいぜい、振り落とされぬように気を付けるがいいさ』
二人を乗せたドラゴンの体が上空へと旅立つ。
突然飛び立ったドラゴンに驚いたのか、森のざわめきが聞こえる。
そんな森を尻目に、アグムトは空高く舞い上がった。
優雅に、そして美しく。
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