03.

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『…風が強い。少し旋回をしながら降りるぞ』 アグムトの言葉に、テオラドは僅かに頷く。 「アムは今、魔王の城にいるだろう。 魔王の動きは私たちも観察していた。封印の力や怪我の具合を総合的に計算した結果、奴の力が完全に戻るのは……半年後だ。 それまでなにもないことはない。 魔族や操ったモンスター、それに連れていった魔法使い。ありとあらゆる手で私たちを襲うであろう。 それらを阻止し、なおかつアムを助ける。 まだ半年。されどたった半年だ。 君の覚悟は聞いた。 共に…強くなろう」 テオラドは、懐で眠るニールを優しい瞳で見つめた。 長い、長い時を生きるドラゴンややライダーにとって、人間世界の移り変わりは一瞬の出来事だ。 だが、知らぬふりを出来るほど事は小さくない。 ふわりとした浮遊感と共に、アグムトの体が降下し始めた。
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