03.

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テオラドの家だと言われた樹木は、あまりに巨大だった。 巨大で、美しく、神秘的。 通常の切り株の何十倍もある太い幹。 ドラゴンすらも木陰で休んでいるように見える、力強く伸びた枝葉。 内部から溢れ出す淡く優しい光は、夜光虫が発する光だろう。 夜光虫は夜になると全身をうっすら光らせ、集団で飛び回る虫だ。 樹木の周りで繁殖し、人々の心を和ませる風景の立役者となる。 森全体がそんな青く淡い光に包まれており、幻想的な風景を産み出していたのだ。 「まだ話足りないが…明日もある。今日は休もう」 『ああ、そうした方が良い…』 テオラドはニールを抱えると、アグムトの翼の付け根から前足、地面。とまるでステップを踏むように華麗に降りた。 そして、樹木に備え付けられた扉を開く。 「さ、ここが私たちの家だ」 室内の光によって、ニールの寝顔がはっきりと見えた。 涙によって濡れた睫毛と涙の跡。 「…ア、ム…」 「ああ…必ず助けよう。だから、せめて今は良い夢を」 そう言ってテオラドは、柔らかい羽毛で出来たキングサイズのベットにニールを寝かせる。 そして大剣を床に置き、ローブを取ると自らも布団の中へ入る。 小さく寝息をたてるニールの髪をそっと撫でていると、いつしかテオラドも夢の中へと入り込んでいった…。
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