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こんなのを楽々と担いでいるテオラドは、凄く力持ちだ!
「ま、当たり前だろうな。その剣は私以外誰も持てない」
『クックックッ…』
アグムトの押し殺したような笑い声を聞いて、僕は耳まで赤くなるのを感じた。
「ひ、ひどいや!」
「くくっ…いや、悪かった…
私が持ってきて欲しいのは、そこに立て掛けてある剣だ」
テオラドが指差した方を見れば、出入り口のすぐ側に、テオラドの大剣より一回り大きな剣があった。
特になんの装飾も施されていない普通の大剣。
「もう騙されないぞ!どうせこれも持てないよ!」
「そう言うな。出来るか出来ないかは試してみてからいいなさい」
ちぇ、何だよさっきから…
どうせ無理なんだ…
そう思いながら、僕は剣を抱えるようにして持とうとする。
「…え?」
突然の出来事に、僕は思わず剣から手を離した。
カランッと音を立てる剣。
そう、剣はとても…軽かった。
「ほら、持てた」
テオラドがそう言う。
え、なんで?
もしかして…僕…とても強くなったのかな!?
力がついて、それできっと…
「その剣は、鈴で出来ているからとても軽い。
見た目ばかりの中身のつまってないガラクタだ」
「…もぅっ…なんなんだよぉお!!」
僕の悲痛な叫び声は、森の木々に反響して何度も響き渡った。
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