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パチッという音と共に、火花が散る。
暖炉を中心に、2人の老人と2人の子供が座っている。
アムとニール。それに2人の祖母であるルーシュと長老のバルフだ。
重苦しい空気に、さすがの2人も緊張しているようだ。
スープが煮えた頃、長老が口を開いた。
「緊張しておるようじゃの?」
柔らかい笑みに、2人はホッとする。
祖母がスープを皿に注ぎわけると、2人は競うようにしてそれを飲む。
「こりゃ!行儀の悪い!」
「だって、お腹減ったんだもん!」
アムが抗議すると、祖母は盛大にため息をつく。
「この大事な日に…」
「まあ、ルーシュ。よいではないか。この子たちらしい。
それで…アムとニールよ。儀式を初めてもよいかの?」
そういうと長老は立ち上がり、何やら黒い木箱を持ってきた。
「よいか?ワシは今からこの箱をあける。
お前達は、中に入ってる魔石を見つめるのじゃ。
目をそらしてはならぬ。災いがおきるからの…
よいか?」
「ねえ!長老様とばあちゃのお仕事はなんなの?」
ニールからの突然の質問。
長老はにこりと笑い、答える。
「お前達のばあ様は、何が得意かの?」
「うーん…」
ニールは、困ったように眉を寄らせる。
ばあちゃが仕事をしているのを見たことがないのだ。
「うーん…わかんないけど、ばあちゃの周りにはいつも子供がいる!」
「皆僕らの友達だよ!」
「そうじゃ、アム。ばあ様の仕事は、子供の面倒をみることじゃ。ばあ様の言うことを聞かぬ子供はおらぬ」
「アムとニールは別じゃがな」
黙っていた祖母が皮肉をいう。
ニヤリと笑うその姿で、怒ってはいないようだと判断した2人。
「それで、長老様は?」
ニールが続きを促す。
「ワシの仕事は、この魔石を守ること。魔石の業を受け継ぐことじゃ」
「業?」
アムが首をかしげると、長老は笑って「今は分からなくてもよい」と言った。
「ねぇ、魔法使いになれるかな?」
「俺はドラゴンライダーがいい!」
先程まで話していた話を、今度は長老に話始めた2人。
祖母は、驚いたように目を開け、2人を見つめた。
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