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「…あれ?」
気がつくと、あたしは森の中にいた。
たしかにあてもなく、フラフラと歩いていたけれど
まさか、こんな馬鹿げた話があるのか、と
あたしはもう一度、ゆっくりと辺りを見回す。
あたしの視界には木、木、木だ。
「うっそ…」
そもそも、こんな都会の歩いて行けるほど、すぐ近くに、森なんてものがあるのだろうか?
しかし、辺りを何度、見回してもそこには木しかなく、灯りすら見えない。
「…どうしよう」
思わず、
口から不安が出た。
辺りは真っ暗だし、森の出口も見つからない、となると、
この森の中で一晩越さなければならないのだが…
「家…とか、あるわけないよなぁ」
そう思いながらも、あたしの足は泊まれるところを探して動き始める。
いくらなんでも、19歳のピチピチ女子大生が
こんな、何が襲ってくるかわからないような森の中で眠る、なんて無理がある。
あたしはひたすら、灯りを探して歩いた。
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