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「転ばないでよー。」
嶋本さんが私のアヤシイ足元を見ながら笑った。
…そんなコト言われても無理。
自慢じゃないけど、こんなに長いドレス着て歩いたコトなんてないんだからね。
わたわたとドレスの裾をつまもうとしたら、案の上、絨毯のデコボコにつまずいて「ヒャッ」と声を上げた。
すかさず那智さんがガシッと私の腰を支える。
「…っぶね。」
「や、ハハッ、ダイジョーブだって。ありがと。」
ヘヘッと笑いながら見上げたら、那智さんがふうっとため息をついた。
「那智、抱っこ!!」
ルカのからかうような声に、那智さんがニヤリとした。
「了解。」
「え!?ちょ!?」
言うが先か、あっという間に横抱きに抱き上げられて思わず真っ赤になる。
…こんな皆の前でとか、マジでありえない!!
皆がまた、より一層ヒューって口笛を鳴らした。
「俺の家族、大事にしないとな。」
そうつぶやいて、那智さんは私のドレスのお腹の辺りを見つめて微笑んだ。
「……。」
まだ薄く眉間にシワを寄せつつも、仕方ないなって感じでクスッと笑みが漏れた。
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