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結局私は那智さんの誘いに乗ることもしないで、相変わらずダラダラとキャバ嬢を続けていた。
だって那智さんもあれから何も言ってこないから、自分から『キャバ辞めるんで雇って下さい』なんて言いづらい。
私自身はどっちでもよかったんだけど。
キャバの仕事は特にイヤな客もいなかったから、お金の為だと思えば全然苦にならないし、同じ日給が稼げるなら、多少時間が長くたって那智さんの店で働いたっていい。
それに、那智さんのお店ならキャバより早く帰れるし。
…なんて。
本当の本当は、ちょっとだけ那智さんと一緒に働いてみたいかも、なんて思ってるかも。
嶋本さんとか他のスタッフは、ちょっと苦手な感じがするけど。
そして本当は、私がキャバに行く日曜の夜は、那智さんが少し寂しげだった気がするけど。
私はどうしていいか分からずに、そんな那智さんを見て見ぬフリをしていたのかもしれない。
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