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「ホラ、華(はな)、ご挨拶なさい。」
お母さんが隣で私をせっついてる。
「……。」
私は余りの突拍子もない展開についていけなくて、目を見開いたまま固まってる。
「ホラ!!…んもう。…すいませんねぇ。別に人見知りな訳じゃないんですけど…。」
全然言葉を言えない私のフォローをするお母さん。
そんな私達母娘の前には、これまた親子らしき3人組。
パリッとした茶色のスーツを着こなして、いかにも上品そうな口ひげを蓄えたおじさま。
その隣には、柔らかい栗色で緩やかなパーマをかけた髪に、甘い顔立ちの目元と、やや薄い唇のイケメン。
スーツではないけれど、キチンとした黒のジャケットと、薄いピンクのドレスシャツを着ている。
そして更にその隣には、薄茶色の髪をくるくるのツインテールにして、赤いワンピースに身を包んだ女の子。
つぶらで大きな瞳と、小さくて赤い唇。
3人とも初めて見る顔だ。
「まぁまぁ、加世(かよ)さん、こうなったのも突然でしたから…。」
ロマンスグレーのおじさまが、お母さんをなだめるように言った。
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